カミキリ 天牛人語(カミキリだけが人生さ?)

しばらく随時更新!

M高高原のコブ達(2)~eichan

2日目が本番。

13093008.jpg


この辺りは浸食されにくい砂岩層の上が台地状に、その下が急斜面になっている。
分布境界の沢は二股に分かれ、台地を3つのエリアに分けている。
台地に上って、横移動で沢の2つの支流を渡っていければ、分布拡大の状況が確認できるはずだ。

まずは、沢沿いを奥に詰めようとしたが、急斜面が迫ってくるばかり。
ただ、沢自身は狭く、倒木が橋を造り、両側の木々の枝が絡み合っている。
沢がさらに狭くなる台地の上では、コブヤハズが難なく行き来できているはずだ。
なお、コブヤハズは谷の底を好まず、沢沿いを叩いても、まず落ちてはこない。

13093009.jpg

とにかく、手前(左岸)のコブヤハズエリアの上に上ってみることにしよう。
沢から少し戻るように斜めに上って稜線に出ると、傾斜は比較的緩やかになる。
とは言ってもかなりの急斜面。
ブナとミズナラを中心に様々な木々が生い茂り、どれもが雪の重みで根曲りになっているので、
これを手掛かり足掛かりにして、やっとのことで登った。

13093010.jpg


台地の上は、予想通りの笹薮で、横方向の移動はできそうにない。
また、下手に奥に入ると、迷子になりそうだ。
登ってきた稜線の上のブナ、ミズナラの大木を目印に、その位置を確認しながら付近を探索。
うまい具合にブナの立ち枯れが倒れてできたギャップがあった。
ブナの倒木の枝にオオカメノキやカエデが押し倒されて、いかにもコブ好みの環境だ。

clip_image022.jpg


振動を与えないようにソロソロと近付き、良さそうな枯葉を手に取ると、入っていた。
目の上に白眉毛の白黒紋コブヤハズ♀。
コブの側稜と紋の位置関係や紋の形状が、チュウブマヤサンの形質を持つコブヤハズであることを
示唆している。
狙っていたものが採れた!
これは幸先良いぞと思ったが、甘くはない。まったく追加は得られず。

clip_image024.jpg


横移動ができないので、登ってきた稜線を下り、沢を渡って、次のエリアを登り始めたが、
細い木が密生して、お城の忍者返しのように根曲りしているので、とても登り難く、
しかも台地までの標高差が先程の倍ほどあり、「これは無理」と諦めた。

沢の開けたところで昼食を摂り、最後はチュウブマヤサンサイドに上った。
こちらはさらに急斜面で、足元がぬかるみ、根曲りの木々を鎖場の鎖のように手繰りながら
登って行った。
こちらも台地上は笹薮。
先程のようなギャップが都合よくあるはずもなく、身をかがめて見渡すと、
束ねられたような笹の間にカエデの枯葉がたくさん並んで挟まっているのが見えた。
「あそこしかない!」

clip_image026.jpg

振動を与えないように慎重にアプローチして、
手前のササを手前に引き倒し、ネットを下に差し入れた。
束状のササの間にステッキを差し込んでグイッとこじ開けると、
枯葉と一緒にコブがネットに落ちてきた。
エリトラが平坦で、
側稜が連続したコブヤハズtypeのチュウブマヤサン♂だった。

clip_image028.jpg


7時間で2頭。かなり疲れた。
林道に戻って、フラフラ歩きながらその辺を叩いてみても、昨日散々叩いたところでは
何も落ちてくるわけがない。
疲れも取れてきたところで、昨日叩いた続きのエリアを叩いてみた。
コブヤハズエリアなのに、チュウブマヤサン♂が落ちてきた。
よく見ると、紋の形状は顆粒を伴うチュウブマヤサンtypeで、側稜は紋の位置で途切れない
コブヤハズtype。
先程、マヤサンサイドの上で採ったのとそっくりだ。
タダコブ♂♀を追加して、2日間の調査を終了した。

clip_image030.jpg


分布境界を成す深い沢の周辺は、黒紋コブヤハズの出現頻度も高かったが、
種々の中間個体が見られた。
冒頭に述べた分化名残ゾーン説を裏付けるのに十分なデータではないが、
狙ったエリアで狙った中間個体を得ることができた。

申し遅れたが、私は2種の交雑によって生まれた、
いわゆるF1と思われる個体のみをhybridと呼び、
それらが生殖して増えていると思われる個体群に対しては、
中間個体と使い分けることにしている。


3日目は、峠の手前と峠を越えた長野県側のM尾川右岸で、
比較のためのチュウブマヤサンをサンプリングして、帰宅の途に就いた。

clip_image032.jpg
スポンサーサイト
  1. 2013/11/08(金) 07:49:51|
  2. コブの奥部屋
  3. | コメント:0
<<池袋のゴミムシ | ホーム | M高高原のコブ達(1)~eichan>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

最新記事

総合累計アクセス数

カテゴリ

無料メルマガ「カミキリ通信」 (77)
情報誌「天牛通信」 (12)
出版案内 (10)
屋久島 (34)
奄美大島 (39)
徳之島 (24)
沖永良部島 (27)
宮古島 (12)
沖縄本島 (77)
久米島 (1)
石垣島 (81)
与那国島 (19)
佐渡島 (5)
八丈島 (24)
対馬 (45)
黒島(三島村) (8)
中之島(トカラ列島) (17)
母島(小笠原) (10)
北海道 (19)
北海道特産ハナカミキリコンプリート (14)
青森県 (5)
岩手県 (6)
山形県 (3)
福島県 (34)
新潟県 (2)
栃木県 (1)
群馬県 (6)
東京都 (101)
神奈川県 (16)
埼玉県 (36)
千葉県 (2)
山梨県 (3)
南アルプス (10)
長野県 (22)
岐阜県 (10)
京都府 (4)
大阪府 (1)
兵庫県 (23)
奈良県 (4)
和歌山県 (3)
三重県 (4)
岡山県 (2)
広島県 (1)
四国 (43)
大分県 (10)
長崎県 (7)
佐賀県 (2)
熊本県 (1)
宮崎県 (6)
鹿児島県 (5)
オオトラ (10)
タマムシ (17)
クワガタ、コガネムシ (8)
カマキリモドキ (2)
ピドニア (30)
池袋の昆虫 (7)
東京の昆虫 (2)
コブの奥部屋 (8)
副産物の雑甲虫 (2)
ライトに来た虫及び他の虫 (2)
コンプリート (1)
紅星記と三種の神器 (25)
日本産ネキ全種採集 (31)
カミキリ、北の国から(北海道) (11)
埼玉にパキタのパラダイス発見 (36)
原稿下書き (13)
比較 (13)
人面顔 (3)
カミキリを横から見る (0)
変わったカミキリ (1)
交尾写真 (6)
カミキリ情報館更新 (44)
いただきもの (40)
未分類 (41)
外国産 (2)
訃報 (3)
学名変更 (53)
採集地の、ある風景 (1)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ

プロフィール

池修

Author:池修
カミキリ情報館の池修石蔵です。

リンク

このブログをリンクに追加する

最新コメント

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR